果実のCOBOにくらべて、実は上級者向きといわれる野菜COBO。
それは、なぜでしょう?どんな意味があるの?
戦前まで、伝統的に日本人は生野菜を食べる習慣はなかったと
山形おきたま興農舎の小林さんにお聞きしたたことがありますが、
もういちど、COBOという方法で野菜を摂ることを
みなおしてみましょう。
「COBOとは、冷蔵庫で自然発酵する方法です。」
冷蔵庫が、保存する場所だけでなく、なにかを育てる場所であること。
冷蔵庫の環境が菌のはたらきにじかに影響をあたえること。
また、コントロールできないといわれていた発酵のはたらきが
冷蔵庫の低温におくことで
安全で、身近で、ありがたいものになるということ。
COBOは冷蔵庫での乳酸発酵をメインに、
その後の常温の発酵を組み合わせるものです。
◎乳酸発酵ってなに?
「野菜には毒がある」って知っていますか。
野菜は子孫繁栄のために生きる植物。種をたくさんばらまく
ためにも、動物に食べてもらいたい。実をあまく、目立つ色をつけて
熟し、誘います。でも、「種の準備ができていないから、
まだ食べないで」という時期には、実の中に毒になる成分を含ませて
動物が寄りつかないようにします。
実が熟すと毒はなくなりますが、葉には残りやすいらしい。
また、野菜は収穫後、日がたつとあっというまに大腸菌などの細菌の
すみかに…。野菜の生き方を尊重しつつ、「食べ方」を工夫する必要が
ありそうです。
かといって、野菜を加熱や塩素によって除菌する方法は野菜の栄養や
風味を壊します。
乳酸発酵は野菜の保存性が高まるだけでなく、
乳酸やアミノ酸などによる風味の向上、プロバイオティクス効果などの
理由から注目をあびています。
◎乳酸発酵も人工化
乳酸発酵食品である漬物は、今やお店で買う人が多いでしょう。
手作りしたいと思っても、発酵していない調味料漬け、または、
手間のかかる大仕事になってしまいます。
結果、現在、ヨーグルトにつづき、家庭でも漬物用に使える
スターター(種菌)の販売が待たれている。
家庭での「手作り」も、製造される食品にだんだん近づいて
くるようです。
一般的な乳酸発酵食品の製造過程
野菜 ⇒ 除菌処理 ⇒ スターター(種菌)⇒ 発酵 ⇒ 調味 ⇒ 包装
(『農家が教える発酵食の知恵』農文協 より)
野菜の除菌処理は、種菌を使用する発酵食品にはつきものです。
「pHが低くなる前は、すべて菌を殺して、そこにスターターを
投入すれば、雑菌の影響なく乳酸菌が育つ」ということです。
除菌処理は、加熱、塩素剤、酢酸やアルコール、野菜洗浄剤に
よっておこなわれます。
種菌は、漬物用として注目を浴びているLactobaccils sakei
(ラクトバチルス・サケイ)というキムチ由来のスターターなどが
あり、これは日本酒の「山廃仕込み」への利用も検討されています。
そして、消費者の嗜好に合わせるためか、アミノ酸系の調味料などを
添加するのが常です。
スターターの安全性は気になります。また、素材に付着している菌を
殺した上でスターターを投入すること、風味を増すための発酵食品に
「調味」することには矛盾を感じます。
COBOの乳酸発酵は
野菜・果物 ⇒ 密閉 ⇒ 冷蔵庫で低温発酵 ⇒ 常温発酵
◎安全性について
空気を遮断し、低温環境におくこと。
さらに、嫌気性で低温に強い乳酸菌が増えて出す乳酸が多くなると、
大腸菌などの細菌の繁殖は抑制されます。
ただし、乳酸はかびの繁殖は抑制してくれません。
ビンのふたをしっかりと閉めること。冷蔵期間を長く(10日~)
とること。素材の量を多め(つぶして7分目~)にすること。
冷蔵庫に入れている間もほったらかしにせず、
適度にふって水分をゆきわたらせることが必要です。
◎可能性について
COBOは、野菜や果物に付着している菌、冷蔵庫の中の菌、
部屋の中にいる菌などをすべて取り込みます。
雑多な菌の状態から、冷蔵庫の中では、菌たちの壮絶なたたかいの
すえ、嫌気性で低温にも強い乳酸菌が育ち、強い酵母も生き残って
います。そしてとくに、冷蔵庫から常温へ、つまり、乳酸発酵から
酵母の発酵にきりかわるとき、爆発的なエネルギーが出る。
パンをふくらませる炭酸ガス、豊かになる栄養、満足感を得られる
味のバランス。これらの仕事はおもに酵母がしてくれますね。
COBOは、安全性も栄養も調味も自然の中でおこなってくれる
ものです。低温におくことで、菌をきたえ、「野生化」することで、
その後のパンも料理もすべて、「無添加」になります。
いろんな生きもの自然がビンに採集され、
野生の菌に働いてもらい、人のいのちを支える食を描く。
自分を描くために、絵描きは絵の具を使い、
小説家や哲学者は、言葉で描く。
音楽家は音で描く。
人をはじめ、あらゆるいのちが危うい時代に、
いまの自分にもっとも必要なもの「食を描くこと」。
身近にいながら、目に見えない原初的な生きもの
菌の世界と主体的に五感で対話することから、
生きもののつながりの歴史をたどり、
いまじぶんと同じ時に生きている植物や動物など
あらゆる生きものの関わりを考え、
じぶんのからだの細胞レベルまでのメカニズムを考え、
料理だけでなくあらゆるジャンルを超えたところで
自分のからだやこころを描く。
人と他の生きものをつなぐメディアー菌を育てるために
自然素材×温度×時間を昔から積み上げてきた日本人の知恵と
進化の著しい最新の分子生物などの生命科学を結びつける。
生きることを描く。COBO NEXT DESIGN
いくつかの講座で受講者に発表したものです。
※進化しつづける。
すべては自然界の菌にまなび、
菌とかかわるCOBO生活者のみなさんと情報交換しながら
「COBO VISION」は柔らかく変わり進化していきます。
◎なぜ、ビンの中に素材を詰めるの?
・すべての菌のはたらきを受け入れます。
COBOは、ある一種の菌を選別、抽出、培養することはありません。
また、菌の活動を阻害することのないよう、添加物などを与えません。
野生酵母(と乳酸菌)を中心とする世界をつくりだすCOBOは、
その大前提として自然界におけるすべての菌のはたらきを
受け入れたいと考えます。
「人に有益な菌の活動を発酵といい、人に害をもたらす菌の活動を
腐敗という」定義がありますが、ウエダ家が野生酵母を通じて
まなんだことは、「腐敗」をも自然界にはなくてはならない活動で
あるということです。
「発酵」は、人にとって有益である前に、
生きもののためにあるものとします。
酵母が植物などに付き、分解と合成をして多種多様な虫や鳥、
生きもの全体に豊かなめぐみをもたらし、一方で植物も種という
子孫を残し、土から栄養を得ることができる。
そこに、わたしたち人が、野生の菌の活動を阻害しない方法で
かかわらせてもらう。
そんな姿勢にもとづいていきたいと思います。
・野生酵母がセンサーになってくれます。
素材を提供してくれた人が、「ちょっと恐いなあ」と
仰ることもあります。
ビンの中に旬の素材を入れて水をそそぎ、ふたをギュッと閉める。
それだけで、みえなかった素材の情報を、野生の酵母があきらかに
してくれると伝えたからでしょう。
わたしたちは、表示やブランドに頼り食べものを選ぶことを
余儀なくされています。無農薬だから安全、オーガニックだから安心?
農薬は虫を殺す前に大量の菌を殺すので、酵母も嫌います。
なるべく無農薬か減農薬の素材を選びましょう、但し「有機肥料使用」
と表示された素材を選んでも、おいしいCOBOになるもの、おいしい、
といってもレベルもそれぞれ、あるものは、酵母の食いつきが
よくないのか、うまく育ってくれないものもあります。
どんな土や水で育ったものなのか。
どんな肥料をどのくらい与えられているのかなど、
素材が素材である前に植物、生きものとしてどういう生き方を
してきたのかが、COBOになると、わかる気がしています。
これを酵母がおしえてくれるセンサー、
「生きもの感覚」と呼んでいます。
・旬をキャッチ。植物のメカニズムを知ることができます。
COBO生活をすると、旬のものに敏感になりませんか。
そして、旬は案外短いことを知ります。
季節の移ろいをつかんで生活に取り入れていく、昔ながらの日本人の
自然観を今、COBOという方法で身につけていきましょう。
野生酵母は旬をつくりだす立役者。
どんな生きものより早く様々な実に入りこんでは、実を食べる代わりに
仲間を増やし、実をあらゆる生きものが食べやすいように、
毒性を消したり、栄養をうみだしたり、あまみやうまみを
うみだしています。
熟れた実は芳香を放ち、「もう食べごろだよ」と鳥やさまざまな動物に
旬を知らせてくれます。
野生酵母を通じると、生きものたちのメカニズムを知ることが
できます。わたしたちはCOBOにして、さらに人によい栄養と
おいしさに旬を進化させていきましょう。
・都市生活者だからできること。多様な関係性をつくること。
「ウエダ家はなぜ田舎暮らしをしないの?」と
聞かれることがあります。
時折、都市を離れ、すぐれた素材が育まれている地を訪れると、
そこに野生を発見します。
生きものたちが循環する世界が確かにあるのだと、感動をします。
それでも都市生活者としてCOBO生活をし、都市生活者のみなさんに
COBOを広めたいと思うのはウエダ家がこのような場所に
生きてきたからです。
自分たちが抱える矛盾はそのまま日本の社会が抱える矛盾を
映し出しています。そのひとつに、情報社会があります。
情報とは過去のものです。情報を選択して生きると
現在を生きているはずの自分が過去に留まってしまいます。
野生酵母には情報をうみだす力があります。
三十五億年前から生きているものたちがうみだす情報。
そこには多様なメッセージがあるはずです。
COBOとかかわることで、そのあたらしい情報をなるべく
多くのみなさんと交換し共有して、多様な関係性を結びながら、
先にすすむことができます。
■なぜ、冷蔵庫に入れるの?
・酵母と人がよい関係を結ぶために。発酵をコントロール。
素材を熟成させて旬を育む酵母。人は発酵食品としても、
そのめぐみを受け取ってきました。
酵母がはたらくと、食物の保存性が高まり、消化を助け、
滋養もうまみもアップします。
日本人の心身を育んできた発酵の力。しかし、季節の移ろいとともに
激しく変化する気温や湿度の中にあって、
酵母のはたらきをコントロールすることは至難のわざ。
「酵素の母体」と呼ばれる酵母、ひとたび反応がはじまってしまうと
どんな反応がどれだけのスピードでおこなわれるのかは
予測不可能です。
冷蔵庫にCOBOをおくと、酵母はすぐに、はたらくことができません。
低温の環境でまず、はたらきはじめるのは乳酸菌。
まずは、野生酵母が育まれる環境をつくっていきます。
・雑菌のいないクリアーな世界をつくる。菌の活動をみきわめる。
雑菌の多いCOBOは、酵母のはたらきを阻害して腐ることがあります。
育っても、雑味の多いCOBOになります。
自然界においてはその活動を必要とする雑菌も、
人が体内に摂ると害を及ぼすことが多々あるので注意が必要です。
ビンのふたをギュッと閉めて、空気を遮断して雑菌を排除。そして、
冷蔵庫の低温下におくことで、低温が嫌いな雑菌をさらによせつけず、
低温に強い乳酸菌が出す乳酸が増し、酸性が強くなり、
より雑菌のいないクリアーな世界がつくられていきます。
それでも、「白い粒々が出た」「この、とろみはなに?」
それは、カビでなくて産膜酵母かもしれません。
取り除けば、また酵母が増えてきます。
菌は「ふえたもんがち」です。そのプロセスで起こることを、
ウエダ家とともにまなびましょう。
※嫌な臭いがしたら、COBOをすぐに捨ててください。
・体になじむ食をつくります。
COBOは発酵を起こす前に冷蔵庫で熟成をします。
常温に出してからも、数日後には再び、冷蔵庫へ。
乳COBO88などは3週間、熟成の期間をとります。これは、
菌をゆっくりとはたらかせて、素材の分子をより細かくしていく
プロセスでもあります。
野生酵母の平均的なサイズは5〜10ミクロン。
10ミクロンといえば100分の1ミリです。
乳酸菌はもっと小さくて、普通の顕微鏡では映りません。
野生酵母が出す栄養など様々な成分はさらに小さく、
ナノ(100万分の1ミリ)単位、
さらにさらに小さいイオンサイズ(5千万分の1ミリ)と
いわれています。
イオンサイズというと、わたしたち人間に、
60兆個ある細胞ひとつひとつの、
チャンネル(扉)を通りぬけることができるサイズです。
だから、細胞の中まですうっと浸透していける。
だから、COBOを飲んだり、COBOを素材にはたらかせたりすると
乳COBO88パンを食べたときに、
「体に抵抗なく入り、すみずみまでなじむ」ような
感覚をおぼえるのでしょう。
講座にも、離乳期の子どもや、アレルギーをお持ちの方、
病気から復帰される方がたくさんいらっしゃいます。
あらゆる人の体によくなじみ、新しくも旧くも、西洋も東洋も、
あらゆる食をボーダレス化していくシンプルなCOBO食。
さらに、楽しく追求していきましょう。
・一年中、COBO生活ができます。
旬をキャッチするCOBO。野生酵母もいっしょにキャッチして、
ビンに詰めたら、あとは低温の環境下で、気温の上下に振り回されず、
菌のはたらきを引き出していく必要があります。
冷蔵庫は酵母がすみやすい環境をつくり、
そのはたらきをコントロールする上で最適な環境です。
あなたがデザインする、旬のCOBOレシピを楽しみにしています。
脳には「味覚ファイル」があるらしい。
膨大な味に関するデータがそこに内臓されているという。
ファイリングには2つの脳の働きが必要だ。
ひとつは、食べものを好きになる脳の働き。
つまり、情報収集をして、脳の味覚ファイルをつくる作業。
もうひとつは、好物を食べておいしいと感じる脳の働き。
ファイルを参照する作業。
じぶんの脳にある味覚ファイル。ひとりひとり、違うファイル。
そこには、なにが書かれているのだろう?
羊水の味、母乳の味、母親が作ってくれた手料理の味データは
まだ、残っているだろうか。
情報を消費するような食べ方をして、既存のファイルを参照する
作業だけをしていればおのずと、食べること自体に飽きたり、
生きものとして危険な食べ方を繰り返すことになるだろう。
COBOはじぶんの「味覚ファイルを作る」ことが
できるものではないか。
「今までつかっていなかった感覚を刺激するような」と
COBOを表する人は多い。
たとえばその感覚とは、じぶんの既存ファイルになかった
味のデータが、既存ファイルの古いデータを押し出して
更新されるような瞬間ではないだろうか。
COBOの味にはいつも発見がある。
野生の酵母がうみだしたものをそのままいただくから、生きている。
香りや味も、それに伴うCOBOの成分(多種類のアミノ酸や
タンパク質、ミネラル類、ビタミンB群など)も生きていて、
バランスを変化させている。もう二度と出会えない味。
COBOのデータはじぶんの細胞にあるセンサーが働き出すと同時に、
脳を感動させるような更新をもらたらすのかもしれない。
◎COBOの情報はデジタル化されて伝わる
COBOの味は細胞膜のセンサーによって、分析される。
膜にあるセンサーが、COBOの留まらないあまみやうまみ、さんみを
苦味、甘味、酸味、うま味のレセプター(受容体)に振り分けて
キャッチし、細胞内に取り込む。その瞬間に、なにが起こるか?
イオンバランスが崩れて、エネルギーがうまれる。
と同時に、COBOの味は、化学物質というアナログ情報から、
衝撃の個数で示される「信号」というデジタル情報に変換されている。
このアナログ→デジタル変換は、入ってきた味の情報を、
細胞の内部へ、ほかの細胞へ、脳へと伝えるために必要だという。
味の情報がいろんな場所に伝達されるとき、デジタル化されたほうが、
情報の損失を受けにくい。
ノイズ(雑音)の影響も受けにくい。
情報を整理しやすいなど理由がある。生きるために合理的な判断。
それにもとづいた生命活動のシステムには本当に感心してしまう。
私たちひとりひとりの体に、ちゃんとそなわっているのだ。
人類、いや酵母をはじめとする単細胞生物が誕生した何億年も前から、
優れた伝達テクノロジーは生きものたちの体にそなわっていたのだ。
◎COBOの情報が脳の各部位に伝えられる
COBOのあまみ、うまみ、さんみは、舌で信号化される。
シュワッとする発泡の刺激、COBOの温度やとろみも信号になる。
そして延髄孤束核(えんずいこそくかく)、という
脳の入り口に伝えられる。後頭部にある延髄孤束核。
甘味などの味情報、とろみなどの感触、冷たい・あったかいなど
別々に届けられた情報が、ここで整列をするという。
「うわっ」異常な味がすれば、吐き出される。
まだ、おいしいとかおいしくないとかの判断はされていない段階。
つぎに、信号は脳の一次味覚野(いちじみかくや)に別々に送られる。
この味覚野は脳のあちこちにある部位で、場所の特定はできないらしい。
そのあちこちで、一時、伝達のため分解されたCOBOの味データが、
組み立て直され、またCOBOの味に戻される。
「あ、これがCOBOなんだ」と知る。
再構成されたCOBOの情報は、
扁桃体(へんとうたい)という場所に送られる。
扁桃体では、おいしいとかまずいとか、どのくらい好きだとか
嫌いだとか、いよいよ、COBOの味が価値を判断される。
できるだけ多段階の評価を受けられるように、分解されたデータは
再構成される必要があるという。
◎COBOの情報が評価を受ける
おいしい、にもいろいろある。すごくおいしい、おいしいかも、
なんだかわからないけどおいしいと感じる。
そしてまずいにも、なんだか変な感じ、苦手だな、
もう食べたくない・・・。
目に見えないじぶんなりの、多段階の評価がなされている。
その評価の判断材料は、味やにおいで感じる情報と、
体調で感じる情報、主に二つの方向から来る。
おいしいと思っても、食べた後に体調を壊した経験があると、
まずいという評価になる。
おいしいとかおいしくないという感覚は、
生きものとして合理的な判断を下すということにつながっている。
扁桃体(へんとうたい)でCOBOの味は、多段階の評価を受ける。
好き嫌いは、拍手のような信号の強弱で表されるという。
すごく好きならたくさんの拍手、
そうでもないならパラパラ、といった感じだろうか。
近くの海馬(かいば)周辺に蓄えられている過去の記憶ファイル、
つまり個人の膨大な食体験のデータも参照される。
COBOを一度味わうと、もうひとくち、もうひとくち、
とやめられない。また、違うCOBOを育てたいと思う。
それは一度きりしかない味、ということも確かにある。
でも、COBOの軽い感触のあとに訪れる、
深い満足感の虜になっている人は多いのではないか。
COBOのうまみのもとは、酵母自体のタンパク質がもたらすうまみや、
酵母がうみだす多種類のアミノ酸によるもの。
アミノ酸といっても、あるときは必須アミノ酸(20種類)が
バランスよく含まれているときもあるだろうし、
あるときは何種類かが少なかったり多かったり、
ということもあるだろう。
それもCOBOが、野生の酵母に頼って育てられるものだからだ。
満足感がバランスを変化させて訪れる。
だから、また、違う満足感を味わいたいと思う。
COBOはもしかしたら、生きものとして正常なやみつき感を
もたらすものかもしれない。
◎COBOでじぶんの味ファイルをつくろう
砂糖や油脂によるやみつきは、体によくない結果をうむ。
COBOは、やみつきになっていい。
おいしい、という強くはなくても確かな満足感や快感をもたらすし、
その結果、毎日飲んだり食生活に取り入れても、
砂糖や油脂を大量に摂るのとでは、
体も脳も心も、おそらく正反対の方向性を辿るだろう。
生きものとしての快感と正常な行動がバランスよくそなわったCOBO。
少しずつ違うCOBOの味データを、
じぶんの脳にファイリングしておこう。
じぶんにとって必要な味や香りのデータを日々、
体や脳に入力→更新していこう。
ビンの中で野生の酵母は、センサーを働かせている。
生きものに必要なものをセンシングして、
私たちひとりひとりに与えてくれている。
※「COBO脳」第二回
「COBOを味わうってどんなこと?②脳に味覚ファイルをつくる」
知恵をいただいたのは、『人間は脳で食べている』ちくま新書 伏木亨
「COBOを味わうってどんなこと?①細胞膜センサーが感知する」
◎COBOの味に呼び覚まされるセンサー
COBOの味は、人の感覚に訴えるもののようで
「感覚が呼び覚まされるようだ」
「五感をフルにつかう」「活性する」など表現されることが多い。
五味(甘味、酸味、うま味、塩味、辛味)といわれる味覚の世界。
けれど、COBOの味は甘いだけ、うま味だけ、ということは
ありえない。
そして、どれかひとつだけが強すぎるということもない。
さわやかなさんみのあとにはあまみが、あまみにうまみが重なり、
うまみのあとに深い満足感がある。この流動的な味わい。
COBOは人が考える味のモデルに関係なく、
野生の菌が生命活動をしてうみだされるプロセスに過ぎない。
だから、じぶんの細胞を意識するほどに繊細で、
体に違和感なく浸透していくのかもしれない。
COBOは青から紫へ、紫から赤へとグラデーションを描く、
たとえば虹のような自然界の現象を口に含むようなこと
かもしれない。
COBOの味をつくりだしている成分(アミノ酸やタンパク質、
ミネラル、ビタミン類など)バランスも自ずと流動的になる。
だから、もうひとくち、味わいたい。あらゆる料理に使いたくなるし、
季節が変わればまた、果物や野菜をみつけてCOBOを育てたくなる。
COBOの味からは、生きものが生きている世界の多様性を
かいま見ることができる。
そして、COBOのつくりだす連鎖を壊すような方向性をもつ味や
食べ物、食べ方にも敏感になる。
COBOのテイスティングはじぶんに必要なものと、必要でないものを
選び出すー「生きものセンサー」を身につけていく第一歩。
◎じぶんの味細胞が出会うCOBO
じぶんの味のふるさとは、
母親の胎内で味わっていた羊水だという話がある。
毎日味わって記憶していた羊水は、どんな味だろう。
胎児の味蕾は口の中だけでなく、なんと顔の表面から胸元へも
拡がっているそうだ。
ほぼ全身で、じぶんを生かしてくれる味をキャッチしている
生きものとしての姿がみえる。
生まれる時には味蕾は唇程度まで減り、大人になると更に減る。
それでも、舌、のどの少し手前の上あご(軟口蓋)、モノを
飲み込むときに気管にふたをする咽頭蓋、それから食道の入り口に
あり、私たちは意外にいろいろな場所で味わっている。
味蕾のシステムは、味を受け取る細胞と、それを支える細胞。
そして脳などに味の情報を伝達する神経細胞がつながっている。
味を受け取る細胞には、味を受け取るタンパク質が、
ひとつひとつの細胞の膜に埋め込まれるように存在している。
そして苦味を受け取るタンパク質、酸味を受け取るタンパク質、
うま味を受け取る、甘味を受け取るタンパク質と分担されている。
苦味は、生きものにとって毒である可能性がいちばん高いので、
それだけ苦味を受け取るタンパク質の種類も多く用意されている。
つまり苦味には最も鋭敏なセンサー機能をそなえ対応しているという。
酸味は、それが腐っているものか、新陳代謝を促すものであるかを
判断するタンパク質。
塩味は、体液バランスを調整するためにはたらくタンパク質、
うま味は、生きものに必要なタンパク質を意味している。
甘味は、生きていくエネルギー。
酵母はあまずっぱいものが好きで、おいしい果物や野菜には
空気中からとりついてくる。
でも、あまり健康でない、つまり腐敗にかたむくような
弱い果物や野菜には、なかなか寄ってきてくれない賢さももっている。
COBOを育てると、野生の酵母に生きものとして合理的なセンサーを
まなぶことができる。
センサーというものは、私たちひとりひとりの細胞の膜に
実際にあるものだという。
人間の約60兆個の細胞の膜に装備されている。
流動的なタンパク質というかたちをして存在している。
そして、優れたセンサーが装備されている膜とはなにか。
生きものを外界と内側で区切り、内側を生命活動に適した
環境をつくることで、生きものは誕生したといわれている。
そして膜は、細胞の外界の環境と直接接してセンシングし、
細胞内へ取り込んでいる。
COBOをつづけるとなんだか体調がよくなってくるのは、
野生の酵母がすでにセンシングして生命活動をしたものをそのまま、
もらうからかもしれない、と思った。
◎細胞の膜にあるセンサーがCOBOをとらえる
新しくて古い研究対象として注目を浴びている、
細胞膜(セル)センサー。
細胞外の環境と直接接し、センサーとして重要な役割を果たす
膜タンパク質は次々と発見されているという。
光、匂い、音、味、圧力、温度、イオン、電位、フェロモン、
ガスなど外界の環境情報を認識しながら、
ダイナミックに対応する生命活動の柔軟性を科学が追いかけている。
そんな状況がうまれているようだ。
なぜ、環境の変化にダイナミックに対応できるのか。
細胞膜センサーがおこなっていることは?
COBOでシュミレーションしてみよう。
まずは舌の味蕾に、COBOが接する瞬間をイメージして。
味蕾に触れた多様な味は、細胞の膜にあるタンパク質がキャッチ。
最初にセンシングされるのは苦味?COBOに苦味はあったかな。
つぎにさんみ、うまみ、あまみ。
あらゆる味の受容タンパク質が反応していることだろう。
すると、細胞膜にあるゲート(水門)役をしていたタンパク質
「イオンチャンネル」が小刻みに開閉して、味物質は
細かいイオンとなって細胞内に流れ込んでくる。
ここで、細胞の内側の環境が大きく変動し電気が流れる。
電気が起こるのは、細胞の外と内のイオンバランスが
変動するから。
もともと、細胞の内外で異なっているイオンバランス。
これは膜にある「ポンプタンパク質」と呼ばれるタンパク質が
わざわざエネルギーをつかって、
細胞の内側で生命活動を営むに必要なイオンバランスを
つくりだしているものだ。
イオンの量が異なれば、イオンが帯びるマイナスとプラスの量も
異なって、電位差がうまれる。
ポテンシャル(秘めた可能性)として存在するエネルギー。
環境の変化が電位差に影響を与えてうみだされるエネルギー。
COBOの味は、生きものがうみだす多様性がある。
じぶんの細胞にある膜センサーを
きっと、じゅうぶんに働かせてくれるだろう。
COBOのエネルギーは、野生の酵母がうみだす正しいエネルギー。
じぶんになにをもたらしてくれるだろう。
次回は、
「COBOを味わうってどんなこと?②脳に味覚ファイルをつくる」。
COBOの情報はどのようにして脳に伝わり処理されるのか。
いっしょに想像しましょう。
※「COBO脳」第二回の参考文献は
『Bionics[バイオニクス] 2007 Janyuary No.26 Special Issue
細胞感覚とセルセンサー』
『味覚を科学する』(角川選書)都甲潔
『人間は脳で食べている』(ちくま新書)伏木亨
『生き物たちのふしぎな超・感覚 進化が生んだ
驚きのサバイバル戦略』
(サイエンス・アイ新書)森田由子
『子どもの味覚を育てるーピュイゼ・メソッド』(単行本)
ジャック・ピュイゼ、鳥取絹子、三国清三
それは、COBOの多面性を知る場所。
ここで は、料理や食生活の括りを突破して、
COBOの生きものとしてのすがたにせまります。
野生酵母をひとつの細胞としてとらえ、
その生態を知ることから、
私たちひとりひとりの食べ方、着方、住み方、楽しみ方、
生き方全般を考える幅を拡げることができる。
また、多分野の方々と出会い対話が生まれ、
この春に誕生する恵比寿BIOS「COBOの場」で
講演やイベントなどを通じて、
多様な交流の場を生み出すことができればと
願い、はじめました。
第1回「COBOには、どんな果物・野菜がいいの?」で
突然、長い長い文を掲載。
読んで下さった方、ありがとうございます。
もっと土の中の微生物について知っている、
野菜や果物を自分はこう選んでいる、
また育てているという方はウエダ家にどうぞ教えてください。
COBOファン呼称「赤い本」(『COBOー野生酵母と出会う』)は、
COBOをはじめる方法、簡単なレシピ、COBO生活の可能性、
COBOが生み出す現場の紹介など
ウエダ家の提案がさまざまに盛り込まれた
「COBOファイル」のような本。
「COBO脳」ではそこから野生酵母の、細胞 としての可能性を
クローズアップします。
分子生物学、環境 学、生態学、文化人類学、食育、建築学、アート、
音楽など、多様な分野でご活躍されているみなさま。
ウエダ家といっしょに、これからの生きかた
「COBO LIFE MAP」を描いていきませんか。
「COBO脳」はブログで(不定期)読めます。
ご意見ご感想、講座の依頼などは、こちらへお願いします。
ウエダ家cobo
※2回目は「COBOを味わうってどんなこと?
細胞膜センサーを意識しよ う」
なぜでしょう。」
「ビンを開けてみたら、いやなにおいがする。
なにがいけなかったんでしょう?」
ウエダ家の本を読んでCOBOをはじめた方から、
今でもたまにメールがきます。
そんな方にはまず、ウエダ家の方法できちんと
仕込んでいただけたかどうかを確認します。
その場合ほとんどがビンの密閉性や、仕込んだものを
冷蔵庫に入れていなかったことが原因と分かります。
COBOは菌の世界。
水が変わっても、温度が変わっても、すぐ影響がでます。
冷蔵庫に入れるなにげない行動も、腐敗を招くバクテリアや
カビから酵母や乳酸菌を守るために必要不可欠なステップ。
それでもやっぱりダメならば、ビンの中に入れた、
りんごや野菜を疑うしかありません。あなたはその素材を、
どこでどのように手に入れましたか?
酵母や乳酸菌の食べ物であるはずの果物や野菜にたっぷり農薬が
かかっていたり、肥料などから化学物質に汚染されていれば、
酵母や乳酸菌が食べることができないばかりか、その果実や野菜には
はじめから酵母はほとんどすみつかず、かわりに腐敗する菌が
すみついていたことになります。
残念な結果ですが、もし同じ野菜や果物をCOBOにするのでなく、
なにげなくお店で買っていたらいつもどおり洗ってかじったり、
料理に使っていたことでしょう。
そう考えると、じぶんより先に酵母や乳酸菌が、
食べないほうがよいものを、選別にしてくれたことになります。
菜食だから体にいいとは、もう言えない。
国産だから、オーガニック表示があるから安心、とも言えない。
そんな日本の農の現実を教えてくれたのは、
一冊の本『野菜が壊れる(新留勝行著)』でした。
まず土が壊れ、野菜が壊れ、牛や豚や鶏が壊れ、食品が壊れていく。
はじめに微生物が死んでいく連鎖がそこにあります。
それでも毎日、なにかを食べていかなければならない。
ウエダ家は日々、酵母や乳酸菌を主体とした見えない菌のはたらきを
観察しています。
生きものにとってよりおいしい状態をつくりだしては体や生活に取り入れ、
COBOを通じてさまざまな人と交流しています。ひとりひとりが
生きものとしての感覚を取り戻し、食べること全体を取り戻して
いこうというこころみです。
おいしいCOBOになることと、腐ってCOBOにならないこと。
その間には見た目以上に、菌が教えてくれる、多様な現実があるようです。
そして、それを突破する多様な方法論もきっと、
菌の世界にみつけることができるはず。
まずは経験をすること。そういう意味でも、COBOはたとえ腐っても、
「失敗」にならないと思います。
■菌を失ってきたことを知り、取り戻していく。
空気中、水中、土中。動物や人の体内。酵母はどこにでもいます。
見えない菌たちは、目に見える生きものたちと同じように
生きるために互いに競争したり、協力したり、
寄生したりしてすみわけています。
そして重要なのは菌たちが食べて吸収・消化し排泄したもの、
また菌の死骸そのものが、人が生きるために必要な栄養やおいしさになること。
そのため人と菌とは長い長い共生の歴史を歩んできました。
味噌や醤油、漬物、酒・・。
家庭の中でも菌とともにおいしいものをつくりだすことで、
日本人は見えない生き物とつきあう感覚を磨いてきたともいえます。
しかし今こうした発酵食品の中にも、発酵していない、
つまり菌が生きていないものが多く出回っています。
土の中、空気、食品加工においても自然の法則を無視して石油系の化学物質を
取り入れてきた結果、土は土でなくなり、
空気も食べ物も本来のものではなくなりつつある。
見えない菌はおそらくどんな動物より早くこの危機を受け止め、
食べものを失い、水を失い、すみかを失ってどんな動物より多く死んでいる。
生きもの全体のセンサーともいうべき存在かもしれません。
日本の土は農薬がまかれて殺菌され、植物を多量に生産するべく
長年の化学肥料によって疲弊し砂漠化しているといいます。
そこには戦後、農家に石油系の肥料を押し付けた国策や
農のプロ、八百屋、流通、料理人、消費者などひとりひとりが
自然界で植物が育つメカニズムに学んでこなかった背景がある。
土に触れない生活者にもきっと、COBOは土を取り戻す入り口になります。
生きた土をつくりだす微生物のはたらきに近いものを
生活の中で学ぶことができます。
■生きた土をつくり、植物の栄養吸収をになう菌。
いい野菜に苦味はない。しかも、放っておいても本来はカビたり変色したりしない。
常温で置きっぱなしにしていても、しなびていくだけで果物なら
水分がぬけるとともに、空気中の微生物がついて分解し、
あまみが増してドライフルーツのようになるそうです。
腐らない、という事には驚かされます。野菜も果物も、
食べものである前に植物である。生きものを育む土とは、どんな土なのでしょう。
著者は、人の手のおよばない森の中の土だといいます。
「見えない菌やバクテリアを含めた昆虫、モグラやミミズなど土中の生物、
イタチやキツネなど小動物。
バクテリアは落ち葉や動物の死骸を分解し、多様なミネラルをつくりだします。
菌根類やカビは、ミネラルを植物が吸収しやすいかたちに変え、
さらに土中に菌糸を張りめぐらせて栄養素を運びます。
モグラは土を攪拌して酸素の通り道をつくる。
動物たちはミネラルの豊富な葉や糖度の高い実を食べる。
つまり、たくさんの生物が、吸収したものを自分の体内で分解し、
炭水化物やタンパク質を合成し、不要なものは排出してお互いの栄養をつくり
出します。死んだら、その体ごとほかの生物の役に立ちます。
〜こうして、数百種類、数千種類の動植物の共生関係によって、
豊かな土ができ、それがまた植物を養い、ミネラルをエサとする微生物が
繁殖するという循環ができます(『野菜が壊れる』)」
農は本来、これを再現する方法としてはじめられたもの。
生きた土はふかふかで、大小の団子状からなる団粒構造をしている。
引き抜いた根にもくっついてきます。
これは、土の中にあるミネラル元素を含む粒子が電気的に結びついて
水を保っている状態。
いい土とはマイナスの電子の「腕」を(ケイ酸というかたちで)たくさん持っていて、
鉄やマグネシウム、マンガン、カルシウムなどプラスの電子(イオン)をもつ
さまざまなミネラル元素とくっつくことができます。
そして植物は、根の先の細い根毛を大小の団子の隙間にのばし、
根の水分のイオンにミネラルイオンを引き寄せて、根の中にある水素イオンと
ミネラルイオンを交換する。これが、植物が根から養分を吸収するしくみです。
土の中の微生物はミネラルをつくりだすだけでなく、
植物の成長をコントロールしています。夜間から午前中、水分の多い土の中で
活躍するのは嫌気性の菌。
根が水分を吸収して午後から土が乾いてくると嫌気性の菌は死に、
好気性の菌が活躍しはじめます。
空気中の窒素を植物が吸収できる養分につくりかえます。
嫌気性菌の死骸はそのまま栄養分となります。
一日の菌の移り変わりに伴い、植物は体の成長と実をつける成長を
続けることができるのです。
■酵母がすみつく野菜、腐敗菌がすみつく野菜。
生きたふかふかの土に対して、微生物がいない土は干上がった砂漠のよう。
農薬をまいて菌が殺されミネラルをつくることができず、また化学肥料は強制的に
養分となる窒素だけを吸収させ電子を追いやり、結びつきができないために
団粒構造ができず、ぼろぼろと崩れやすい状態になります。根が焼かれ葉が焼かれ、
自己防衛できず傷ついた植物を食べてよいものとみなした虫や腐敗菌が寄ってきます。
そこで菌や虫を殺そうと、また農薬をまく。
植物は農薬と虫や菌たちの戦場となって傷つき栄養を蓄えるどころではありません。
しかも、化学物質は生きものの体内を通った養分とは異なるせいか、
発がん性物質をつくり出す多量の硝酸態窒素が植物に残ってしまいます。
こうなると、たとえ見た目は野菜や果物であっても、壊れた細胞の集まり、
電子も失われた別もののようです。
COBOに使っていい果物や野菜は、どこにあるのでしょう?COBO生活は、
菌が生きているものを探す旅のはじまりです。
はじめは無・低農薬や有機のラベルに頼ってもいい。
でも、だんだんと身近な景色の中に畑を見つけたり、農家の人と会話してみたり、
ベランダで小さい植物を育てはじめたり。
COBO生活から「育てる」意識がめざめるせいか、不思議とよい素材に
出会えるようになります。
■見えない菌の世界が、目に見える自然界をかたちづくっている。
COBOに使う果物や野菜を選ぶ。じぶんは置いておいて、菌が生きているもの。
菌がおいしく食べられるもの。すみかとできるものを、
じぶんのあたらしい基準として選ぶ。『野菜が壊れる』では、
戦後、日本の国民ひとりひとりがつくりだしてしまった、
死の世界ともいえる土の状況を農の専門家という立場で克明に伝えています。
また、電子を与える方法などから自然界にならった農や食を取り戻す希望も
語られています。
「微生物の活動の総体が自然界を支えている」この言葉にウエダ家は共振して、
これからもCOBOを続けていきます。
酵母や乳酸菌のはたらきは、ミクロ以下、ナノの単位でおこなわれています。
ビンの中で、自然界から生まれ出るみずみずしい細胞。
生きものがはたらけば電子がふえ、多様な結びつきをつくりだしていきます。
COBOは目に見えない菌の世界にふれることから
生きものとしての感覚を取り戻し、目に見える飲み物や食べ物、
じぶんの生活に浮かび上がらせていきます。
◎写真は、横浜の自宅の近くの農家から一ヵ月以上も前に買った無農薬のにんじん。
冷蔵庫に入れておいたとはいえ、カビがぜんぜん生えていません。
12月の交流会で「りんごCOBO+にんじん」スープとして、お出ししました。
◎参考文献
『野菜が壊れる』
集英社新書 新留勝行(にいどめかつゆき)
じぶんの身のまわりにいる野生の菌たちと、日々かかわりあって、
ともに生きるCOBO生活。
用意するものは、ビンと旬の素材と水だけ。
仕込んだらすぐ、冷蔵庫におく。
ウエダ家の方法によって、だれもが野生の菌とつながり
どこにいても、COBO生活することができる。
じぶんにいるもの、いらないもの。
いきるために必要な味とそうでない味を、
野生のCOBOにおしえられる。
ねむっていた、生きものとしての感覚がよびさまされ
じぶんだけのセンサーが身についていく。
食物連鎖の頂点に立つヒトが、生きものの原点である菌とつながる。
彼らがいきている場所、そのままの生態系がじぶんとつながる。
生きものとしてかかわる力を身につけて
日々の生活をデザインしていく。
COBOと暮らすと、つながり、ということに気づく。
とくに食べることは、あらゆる生きものにつながること。
そういう食べかたを、野生の菌はおしえてくれる。
ビンの中のちいさな生きものたちが、じぶんの生活にいのちの息吹をあたえてくれる。
ほかの菌とせめぎあい、共生する関係をみせてくれる。
香りやあまみ、うまみ、栄養の、一期一会のバランスに
五感がみがかれる。
生きものとつきあう呼吸のような感覚や、じぶんに必要なものと
必要でないものをみわける術も身についていく。COBOは
いま地球全体の環境におきていることと、
じぶんの生活におきていることが
同じ線上につながっていることを思い出させてくれるだろう。
じぶんがするひとつの行動が、どう環境全体にひびいていくかを
想像する力をやしなってくれるだろう。
国や文化のちがいもこえて、人は今も昔も、
菌といっしょに生きている。
身近にいる、野生の菌と手を結ぼう。
じぶんのそばにすむ虫や鳥、葉や根や花と生きものとして手を結び、
生きていくことにつながっている。
とくに食べることは、あらゆる生きものとつながること。
そういう食べかたを、野生の菌たちはおしえてくれる。
生きものはシンプルな目的にむかっていきている。
豆や米が固いのも、野菜にえぐみや繊維質があるのも、
ほかの動物にかんたんに食べられないようにする防御術だという。
ほかの生きものと競争したり協力をして共に生きるのも、
じぶんたちの種をつぎの世代へリレーするため。
COBOは豆や米、野菜、肉や魚をふっくらとやわらかくする。
分解という菌のはたらきによって、人がいらないものを抜き出し、
元の素材以上の栄養とおいしさを相乗していく。
そのままでは腐敗にむかう生きものの運命を方向転換し、
わたしたちの身体にすっとなじみ、
今もっとも必要とする食べものへと、うまれかわらせてしまう。
COBOは自然界の植物や動物とじぶんを結びつけてくれる。
食べるー食べられる関係を通じて、
生きもの同士のシンプルなつきあい方をまなんでいく。







